InnoLaboNIIGATA MAGAZINE

地域パートナー企業紹介 #5 新潟日報社

インタビュー

地域パートナー企業紹介 #5 新潟日報社

地域パートナー企業紹介 #5 新潟日報社

【会社概要】
新潟日報社
設立:1942年11月1日
本社:〒950-8535新潟市中央区万代3丁目1番1号
従業員数:508人(2021年4月)
売上高:150億2,591万円(2020年12月期)
HP:https://www.niigata-nippo.co.jp/list/company

主な事業
日刊新聞の製作および発行、ニュースサイトの管理・運営

最近のトピックス
2023年6月、株式会社ふるまち樽拳を設立。
ー湊町文化を生かした古町のにぎわいを取りもどすため、古民家再生を中心とした地域づくり会社を設立。地域のなりわいづくりとしての機能も果たしながら、古町エリアに再び熱をもたらす。
https://www.niigata-nippo.co.jp/articles/-/269739


【今回インタビューに答えてくれたのは・・・】
西川裕さん
新潟日報社 総合プロデュース室特命担当 / 株式会社Essa代表取締役
入社以来、編集やデジタル関連事業などを担当し、コンテンツマーケティングやデジタルマーケティングなど主に新領域への事業展開に従事。また、新潟日報社初の企業内起業として「株式会社Essa」を立ち上げ、同社の代表取締役を務める。

(以下、インタビュー形式で掲載)


―御社の事業内容について教えてください。

新聞紙面を通して、地域の課題を探って報道するのはもちろんです。ただ、100年続けきたこのビジネスモデルの中で、課題を表に出しても実は解決が進んでないことにふと気づきました。そこで、新聞社が課題解決に一歩踏み出す、というのが新潟日報社と株式会社Essa(以下、Essa)の2社が行なっている事業です。

Essaは、新潟県内で歴史的文化的な資産を生かした地域づくり、まちづくりを行なっている会社です。具体的には、地域内のバランスを考えながら古民家や町屋の空き家をリノベーションし、レストランや分散型ホテルなど新たな価値を付加して、地域経済を後押しします。いまは、佐渡の相川や新潟の古町などで、エリアリノベーションに取り組んでいるところです。

―今回、InnoLaboNIIGATAへの参加を通して期待していることは何ですか?

クローズドでイノベーションは起きないと思っています。異業種、多世代の方たちとの交流を通して、未知の視座や若いスタートアップのみなさんの思考回路などを学びたいですね。自分と異なる人種との出会いを求めています。

―現在感じている課題や今後取り組みたいことについて教えてください。

デジタルマーケティングは、プラットフォーマーが潤う仕組みになっています。そこで世界で外貨を獲得できるのは地方のコンテンツしかないと考え、「懐かしくて新しい暮らしをつくる」というビジョンでEssaを運営しています。例えば、佐渡の離島特有の文化、風土、風俗や、北前船に始まる古町の湊町歴史は日本ではここにしかないものなので、この価値を見える化・差別化することで勝負していきたいと考えています。そのためにハード(古民家等)の整備をしながら、コンテンツの整備を進めています。

―具体例はありますか?

古民家の中にモダンを取り入れるとか、あるいは未来志向なのにアンティークを取り入れるみたいなギャップはすごくいいなと思っています。ただ古いだけではない物語をつくって、コンテンツと一緒に商品販売をするイメージです。

―外部と連携するときに一番大切にしているのはどんなことですか?

そのビジネスが差別化できているかという部分です。例えば、IT分野のスタートアップなら技術力や手段だけではなく、その技術がどのように社会を幸せにするのか、効率的になると何が幸せになるのかなど、一歩踏み込んでいるかどうかを見るようにしています。

―スタートアップに提供できるアセットにはどんなものがありますか?

プロモーションや宣伝広報が得意なので、それは既存のリソースを生かせます。各地の地方新聞社とも連携して、新潟のローカルコンテンツを全国に発信していくことも考えられます。

新聞社として長年伴走してきた地域からの信頼も強みの一つです。例えば、まちづくりをする時に若い人は絶対必要ですが、地域には発言力がある重鎮がいたりします。うるさがられたとしても地域に入っていって、その階層をつなぐ役割も担っています。

新潟は100年企業など歴史のある企業が多いです。そういう土壌の中でゼロイチの起業創業「アントレ」はなかなかハードルが高いように思います。自身もそうですが、既存企業の「のれん」を最大限生かして新しい領域に入っていく「イントレ」は便利な仕組みだと感じています。

―アントレプレナー・イントレプレナー思考のメンタリングも提供いただけるんですね。心強いです!

新潟日報メディアシップ展望台から日本海を望む

―西川さんが思い描く「新潟の未来」について教えてください。

新潟は飲食もちろん、実は資源も豊富で物流もしっかりあって、日本から独立できるような経済力と人口とインフラがあると考えています。「新潟県を日本から独立させる」くらいの気概を持って新潟を世界に売っていくという気持ちでいます。
「とりあえず遠くを目指そうよ」という発想で、今の若い人や子どもたちにムーンショットをたくさん見せたいですね。夢のある新潟をつくっていきたいです。

―最後に、スタートアップへのメッセージをお願いします。

揺るぎないコアバリューについて自信を持って自分の口で語れることが大事だと思います。先行き不透明な現代では「自信がない」というより、「よりどころがない」と思います。失敗することを恐れないガッツを持ってチャレンジしてほしいです。

それと、アーリーの時期から異業種とのマッシュアップが重要だと考えています。早く行きたいなら一人で行くのが一番いいですが、遠くに行くならみんなで行かなきゃいけない。遠くに行くためには積極的に異なるものと混じることをおすすめします。

 

【事務局からひとこと】
「過去を忘れずに未来思考で考える」と新潟の魅力とともに目指すべき地域の未来について語ってくれた西川さん。長寿企業の強みとスタートアップの視点を併せ持つ新潟日報・Essaへの様々な提案を募集しています。事業連携に興味のあるスタートアップはこちらまで!

2023年7月25日取材
取材    井上佳純
撮影    星野静香