InnoLaboNIIGATA MAGAZINE

地域パートナー企業紹介 #7 一正蒲鉾株式会社

地域パートナー企業紹介 #7 一正蒲鉾株式会社

地域パートナー企業紹介 #7 一正蒲鉾株式会社

【会社概要】
一正蒲鉾株式会社
設立:1965年1月
本社:〒950-8735 新潟市東区津島屋七丁目77番地
従業員数: 899名
売上高: 328億円
株式:東京証券取引所スタンダード市場
HP:https://corporate.ichimasa.co.jp/

主な事業
水産練製品・惣菜の製造販売およびまいたけの生産販売

最近のトピックス
2023年7月 新規事業開発室を設置
新潟市中央区本町通にある自社ビルの一部を新規事業開発室の拠点として活用。「新たな発想を見出すためにはいつもと違う環境で考えることも必要!?」とのことから、本社から離れた場所をイノベーションの拠点にできないか模索中。今後は、スタートアップの皆さまが利用できる場も提供できればと考えている様子。


【今回インタビューに答えてくれたのは・・・】
髙島正樹さん
一正蒲鉾株式会社 取締役 常務執行役員 経営管理副本部長 兼 経営企画部長
経営計画の立案から進捗状況の管理、組織設計などを行いながら、担当役員として新規事業の開発を牽引する。

(以下、インタビュー形式で掲載)


―今回、InnoLaboNIIGATAへの参加を通して期待していることは何ですか?

当社は主に水産練製品とまいたけを取り扱っています。VUCAの時代により強い会社として成長を続けるためには、もう一つ主力事業を立上げていきたいということで、今年の7月1日に新規事業開発室を立ち上げました。この部署を中心に第二次中期経営計画中(2021〜2025年度)に新しい事業に着手したいと考えています。

InnoLaboNIIGATAへの参加を通して、新規事業の種やスタートアップの皆さまがどのように事業を立ち上げているのかを知ることができ勉強になります。もし登壇企業さまが「事業価値があり成長性があるのではないか」「当社事業とのシナジーを発揮できるのではないか」と考えられる場合には、当社として出資する機会があるかも知れません。

―いままでスタートアップと連携したことはありますか?

以前登壇した企業さまと商品同士のコラボができないかと商談を進めている最中です。当社の商品を新しいターゲット層に向けて打ち出すという商品企画を検討中です。この企画が実現できるかはまだ分かりませんが、今後もスタートアップと組んだ商品企画は面白いものができる可能性があるかなと思っています。

―今後、スタートアップと一緒に特に注力して取り組んでいきたいことは何ですか?

持続可能な社会の実現に資する事業を取り組めればと考えています。今日も新潟市は異常な暑さですが、次世代の皆さんが暮らしやすい環境で活躍できるためにも、なんと言ってもCO2を削減し、温暖化を防がなければならないと思います。また環境への取組みは投資をするだけではなく、事業として収益化していかないといけないという課題もあるので、そのような課題を共に考えるスタートアップには興味はあります。

例えば、有機物の産業廃棄物をバイオガス発電の原料として利用し、そこで残った灰を肥料として農家が利用して、栽培した野菜をスーパーさんに引き取ってもらう。自社だけでなく、様々な業界でアライアンスを組みながら環境循環型ビジネスモデルが組み立てられるのが理想ですね

―そのほかにも重点を置いていることはありますか?

新潟に本社があり、地域課題を解決できるようなことには取り組んでいくことも使命の一つだと思います。「人生はやまびこである」という社是がありまして、“正しきことは正しく報われる”というのが創業者の信念です。地域はもちろん、日本、世界いずれの社会にも役立つべきこと、それは正しいことでありこの信念を基本に考えています。

―海外では日本食ブームが続いていますが、御社はどのように展開されていますか?

現在の売上高は国内市場が圧倒的に多いですが、国内市場は少子高齢化や和食から洋食へという嗜好の流れのなかで今後も大きな伸びを期待することは難しいと感じています。

一方、海外市場は人口増加や今後も経済成長が見込まれる地域もあり、香港や米国で開催された展示会に出展するなど、海外のバイヤーと接点を作りながら海外市場への展開も積極的に行っています。今後は各国の嗜好に合わせローカライズした商品も開発し販路を広げていきたいと考えています。

できたばかりの新規事業開発室

―スタートアップに提供できるアセットにはどんなものがありますか?

ひとつはこの新規事業開発室ですね。コワーキングスペースを作ってスタートアップの皆さまに場所を提供したり、居酒屋さんみたいな交流スペースが作れたらいいなとか、遊び心を持ちながらいろいろ構想中です。

また、食品に関係することでは、研究・開発などコラボレーションができるのであれば、本社の商品開発部の開発、品質保証部の品質検査の活用も可能かもしれません。バイオ研究室でも菌類についての様々な研究をしており知見もあります。コラボして研究するというようなことも協力できる部分があるかと思いますので、まずはご相談ください。

―髙島さんが思い描く「新潟の未来」について教えてください。

エスイノベーションの星野さんやhickory03travelers の迫さんのように、起爆剤になる人たちに新潟をもっと盛り上げていってほしいですね。少子高齢化が深刻な新潟のこれからについて、「若者の就業機会をもっと増やしていかないといけない」と新潟県も新潟市も同じ課題を抱えていると思います。せっかくなら県も市も一緒になって共通の課題に取り組んでいけるといいですよね

―最後に、スタートアップへのメッセージをお願いします。

先日、ゆかりの地である北海道に行った際、海外から「安い日本」にたくさんの観光客が来ているのを見て「もっと日本も頑張らなきゃ」と思いました。クラーク博士の“Boys, be Ambitious”ではないですが、スタートアップの皆さまにはベゾスやジョブズみたいにぜひ世界を目指してほしいですね。「やったあ、新潟から世界の企業が出たよ!」みたいな、スタートアップの皆さまにはそんな志を持って頑張ってほしいと思います。

 

【事務局からひとこと】
Tシャツ姿に表れたオープンな姿勢と社会全体を広く見渡した多角的な視点でインタビューに答えてくれた髙島さん。「サスティナビリティ」「SDGs」「フードテック」をテーマとした新規事業開発に取り組む一正蒲鉾への様々な提案を募集しています。事業連携に興味のあるスタートアップはこちらまで!

2023年8月9日取材
取材    井上佳純
撮影    星野静香