.prepend('') .append(''); })(jQuery);
InnoLaboNIIGATA MAGAZINE

地域パートナー企業紹介 #15 株式会社遠藤製作所

地域企業紹介

地域パートナー企業紹介 #15 株式会社遠藤製作所

地域パートナー企業紹介 #15 株式会社遠藤製作所

【会社概要】
株式会社遠藤製作所
設立:1950年11月
本社:〒959-1289 新潟県燕市東太田987番地
従業員数:121名(グループ会社全体 1,251名)※2023年12月現在
売上高:157億915万円(2023年12月期)
株式:東京証券取引所スタンダード市場に上場
HP:https://endo-mfg.co.jp/

主な事業
ゴルフクラブヘッド、メタルスリーブ製品、鍛造部品、医療機器の製造・販売

【今回インタビューに答えてくれたのは・・・】
遠藤新太郎さん
株式会社遠藤製作所 常務取締役
長年培ってきた信頼に応えられるよう品質の良さを追求しつつ、これまでの事業ドメインのみにこだわらない多岐にわたる分野での新規事業の開発を牽引する。

(以下、インタビュー形式で掲載)


―御社の事業内容について教えてください。

ゴルフクラブのヘッドや自動車部品、人工骨、航空機のエンジンパーツなどを製造しています。また、メタルスリーブというOA機器の内部パーツなどに使われるフィルムのように薄い金属を作っている、B to Bを中心とした金属加工業です。

ゴルフクラブも基本的にはOEMでいろんなブランドに供給していますが、「エポンゴルフ」という自社ブランドでの製造・販売も行っています。
https://epongolf.co.jp/

―直近で一番新しい事業や取り組みについて教えてください。

直近だと、航空機のエンジンパーツの製造が新しい事業の一つです。
あとは、熊野亘さん(武蔵野美術大学 准教授)、Nicetime Mountain Galleryさん、カリモクさんと共同で金属製の継ぎ目のないパイプを開発しました。家具だけど拡張ができ、軽くて強度もある屋外でも使える製品です。
https://nicetime-mountaingallery.jp/?news=inout

こういった小さなものから、アウトドア用のケトルをOEM的に作ってみたり、いろいろ試しているという段階ですね。自分たちのノウハウではないところを、他社と一緒になって少しずつ新しい可能性を広げられたらなと思いながら取り組んでいます。

―いままでスタートアップと連携したことはありますか?今回、InnoLaboNIIGATAへの参加を通して期待していることは何ですか?

出資先でもあるセブンシックス株式会社にゴルフヘッドの検査装置「Spector」を作ってもらいました。レーザーを照射してヘッドの3Dデータを取得することができる装置で、精度の向上に加え、検査時間を大幅に短縮できました。
https://www.sevensix.co.jp/useful/3d-measurement_005/

先方の担当者はこの事業をきっかけにゴルフを始めて、今では僕よりもゴルフ熱がすごいです。今も「別の検査装置ができるんじゃないか」と提案してくれるぐらいになっていて。一緒にチームを組んだ時に「これって自分たちみんなの問題だよね」と自分ごとに思ってもらえるかどうかがすごい重要なのかなと思いますね。

初めから大きい成功をねらって作っていくのは難しいなと思っています。なので、小さくてもいいからいろんな人たちと組み合わせて、トライしていって、成功につながることを期待しています

―これまでにさまざまな企業との協業や資本業務提携をされていると思いますが、自社にとって一番良かった変化はありますか?

自社だけで事業をやっていると人材は自社の教育で凝り固まっていくと思いますが、他社の人と何か一緒にやっていくと考え方や話の進め方が違うので、お互いにいい刺激になるのかなと思いますね。その中でうまくいったものあれば、今までボツになっているものもたくさんあります。

―他社と一緒に事業を進める際の成功のポイントはどんなところにありますか?

面白そうな話だけど、実際は厳しいなというのは結構出てくるんですよね。例えば、弊社が階段を一気に10段、20段飛ばさないといけないというような。面白いんだけど、自社のメンバーでは正直、貢献が難しかったり、マインド的についていけないなと感じたりする時は難しいですね。

ちょっと背伸びして届くぐらいのイメージがいいですね。(先述の)検査装置も最初は話が全然まとまらなかったのですが、プロジェクトメンバーや体制を変えてみるなどの試行錯誤の末に着地ができた例です。

―今後、スタートアップと一緒に特に注力して取り組んでいきたいことは何ですか?

金属加工の工程で出るスクラップ金属はリサイクルしやすい意外とエコな素材なので、もう少し何かに使えないかなと考えています。

自社の知名度向上と自社ブランド「エポンゴルフ」の認知拡大も進めたいです。また、どうやったらもっとお客様にいいユーザー体験を提供できるかといった部分や、自社のみならずゴルフ業界全体を盛り上げていくための取り組みもいいですね。こちらも弊社の出資先ですが、株式会社テクノクラフトと一緒にゴルフで面白いこと、新しいことができたらいいねと話を進めています。
https://www.tecraft.co.jp/

その他には、金属加工を活かした新しい製品やサービスの開発ができたらいいなと思います。

―スタートアップに提供できるアセットにはどんなものがありますか?

製品を作る、ものとして落とし込むときのノウハウの支援、あるいは医療・航空関連も扱っているので、品質保証やトレーサビリティの支援もできます。メーカーを目指したいという場合はディスカッションと支援ができると思います。
タイと国内の工場を実証実験的に活用してもらうことや、自社の空きスペースの活用も可能です。

―御社の今後の展開を教えてください。

日本の人口が減っていることを踏まえると、海外は積極的にねらいたいところではありますね。品質の良いものを大量に作ることを得意としている製造業としては、海外の市場との相性の良さを感じています。海外でいうと、タイ以外に広げるかというのはこれから検討していかないといけないと思っています。

一方で、新規事業の方は日本国内でもっと付加価値をつけて展開していく必要があるので、海外・国内の両軸に力を入れていきます。

―遠藤さんが思い描く「新潟の未来」について教えてください。

海外の経営者の方を50人ぐらい連れて工場見学をした際に、新潟は食べ物が美味しくて、お酒もあって、「新潟はすごい地域だね」と言ってもらえたんですよね。食べ物も産業的な魅力も十分あるので、その魅力をもう少し可視化できたらいいなと思いました。本当に本腰を入れてったら、観光地としてももっと経済的に自立した地域を作れるだろうなというのは個人的にも感じます。

県内企業の社長の方々はゴルフ好きな方が多いと思いますし、ゴルフで観光や地域創生もできるのではないかと。その一環としてゴルフツーリズムができたら、ゴルフメーカーとしてはより良いなと思いますね。弊社だけだと難しい部分もあるので、そういったところで同じ志を持って一緒にやってくれる方たちがいたら嬉しいです。

―最後に、スタートアップへのメッセージをお願いします。

ものづくりの企業として大量に品質の良いものを作るという事業の特性上、上から下に指示を流すという指示系統が基本です。そうすると、新しいことを探索したり、アイデアを広げたりする機会がどうしても日々の業務の中では薄くなってきてしまいます。ベンチャーの方たちとの触れ合いを通して、社内の頭の中を柔軟にしながら、まずは小さくいろんなことにトライできたらいいなと思います。

 

【事務局からひとこと】
若い人にも裾野を広げていくため、「新しいゴルフの楽しみ方や文化もつくっていきたい」と語る遠藤さん。小さいところから異業種との連携を確実に進めて可能性を広げている遠藤製作所への様々な提案を募集しています。事業連携に興味のあるスタートアップはこちらまで!

2024年11月6日取材
取材・編集 井上佳純
撮影    笹田倫子