地域パートナー企業紹介 #11 株式会社ハードオフコーポレーション
<目次>
- 地域パートナー企業紹介 #11 株式会社ハードオフコーポレーション
- ―御社の事業内容について教えてください。
- ―直近で一番新しい取り組みについて教えてください。
- ―御社は様々なジャンルの品揃えが魅力だと思うのですが、取り扱わない商品もありますか?
- ―ジャンク品の人気もさることながら、どうしても商品として販売できないものはどのように対応していますか?
- ―いままでスタートアップと連携したことはありますか?今回、InnoLaboNIIGATAへの参加を通して期待していることは何ですか?
- ―今後、スタートアップと一緒に特に注力して取り組んでいきたいことは何ですか?
- ―最近はインターネット上での中古品の売買サービスもありますが、実店舗ならではの強みは何ですか?
- ―スタートアップに提供できるアセットにはどんなものがありますか?
- ―遠藤さんが思い描く「新潟の未来」について教えてください。
- ―最後に、スタートアップへのメッセージをお願いします。
地域パートナー企業紹介 #11 株式会社ハードオフコーポレーション
【会社概要】
株式会社ハードオフコーポレーション
設立:1972年7月
本社:〒957-0063 新潟県新発田市新栄町3丁目1番13号
従業員数(直営、2024年3月末時点):(正社員)731名 / (準社員・PA)3,833名
業績(2024年3月末時点)
・売上高(直営) 301億円
・経常利益高(直営) 29億円
・国内外チェーン売上高(直営・FC合計) 661億円
・国内チェーン売上高(直営・FC合計) 646億円
株式:東京証券取引所プライム市場に上場
HP:https://www.hardoff.co.jp/
主な事業
リユース事業
【今回インタビューに答えてくれたのは・・・】
遠藤 利行 さん
株式会社ハードオフコーポレーション 情報システム部 部長 / リンクチャネル株式会社 取締役
入社以来、大阪や東京など全国の店舗でリユース事業を担当し、本社へ。現在は店舗・グループに係るシステム全般の業務やアプリ開発、社内システムの開発に携わる。
(以下、インタビュー形式で掲載)
―御社の事業内容について教えてください。
リユースショップを国内外で約970店舗展開しており、当期中に1000店舗を目指しています。日本国内では47都道府県全てに店舗があり、新潟は約90店舗、首都圏には一番多く出店しています。国外はアメリカのハワイとカリフォルニア、台湾、タイ、カンボジアで展開しています。
老若男女あらゆる方が来店くださりますし、地域性や店舗スタッフの得意分野などによって、店舗ごとに品揃えが全く異なります。チェーンストアとして統一する部分は統一しつつ、店舗の個性を活かした運営を行なっているのが特徴的です。
―直近で一番新しい取り組みについて教えてください。
現在は6つの当社オリジナルの業態、ハードオフ、オフハウス、ホビーオフ、ガレージオフ、モードオフ、リカーオフと、ブックオフをフランチャイズとして運営させていただいていますが、その中でも専門性に特化した店舗に最近は力を入れています。例えば、昨年は新潟の小新にパソコン専門のPC館や工具専門の工具館をオープンしました。来月は大阪で初めて子ども用品専門のオフハウスキッズという業態がオープンします。
弊社は元々新品のオーディオショップから始まったのですが、リユース事業に転換してからは幅広い商品を取り扱うようになりました。やはりその中でも祖業であるオーディオは一つの強みだったので、オーディオのリユース専門店をオープンしたんですね。色々と試行錯誤をする中で、専門性に特化することでお客様から一定の支持も得られていますので、より力を入れています。
―御社は様々なジャンルの品揃えが魅力だと思うのですが、取り扱わない商品もありますか?
生活用品全般はほぼカバーできており、取り扱わない商品はほとんどなくなってきました。ハードオフという家電やオーディオ、パソコンなどを扱っている業態では、”ジャンク品”という商品ジャンルもあり、強みの1つです。壊れたものや傷があるもの、一見何に使えるかよくわからないものでもすごく人気があって。新しい店舗がオープンするとたくさんのお客様が並んでくださるのですが、みなさん真っ先にジャンク品のコーナーへ行かれるんですよ。
―ジャンク品の人気もさることながら、どうしても商品として販売できないものはどのように対応していますか?
最近、新潟・埼玉・大阪で「サステナブルセンター」を立ち上げました。ジャンク品としてでも販売できないものを産業廃棄物として出すのではなく、自分たちで分別をしてリサイクルで回せるものは回すという仕組みに取り組んでいます。
弊社の経営理念として「1. 社会のためになるか」「2. お客さまのためになるか」「3. 社員・スタッフのためになるか」「4. 会社のためになるか」の4つを30年前から掲げています。番号は優先順位になっていて、1番先に来るのが「社会のためになるか」ということです。”社会のために事業をやりましょう”という想いはハードオフができた当時からずっと受け継がれています。
―いままでスタートアップと連携したことはありますか?今回、InnoLaboNIIGATAへの参加を通して期待していることは何ですか?
2020年にフラー株式会社と事業提携をして、アプリの制作をお願いしました。そのときに今も人気の機能である「ハドフめぐり」を開発していただき、弊社にはない視点が得られたなと思っています。
https://www.hardoff.app/member/
先ほどもお話しした通り、弊社は1店舗1店舗違うという特性があるため、お客様もハードオフ各店を巡るんですよね。特にコアなお客様はいろんなところに遠征します。各店舗を巡るとアプリでチェックインができ、どんどん記録も溜まり、全店制覇すると記念品がもらえるという機能です。実際にそういったファンの方の活動が見えるようになった効果もありますし、そこから公式アンバサダー制度を設けることにもつながりました。
また、十日町市にあったシステム開発会社を子会社化(現:リンクチャネル株式会社)して、今はフラーさんに内製化の指導・支援を受けながらアプリ開発を行っています。フラーさんとは今もいい関係が続いていますね。
―今後、スタートアップと一緒に特に注力して取り組んでいきたいことは何ですか?
ECやアプリの方も力を入れていますが、同時に実店舗を大事にしていきたいという思いがあります。世界中に店舗があるのでグローバルではあるけれど、それぞれがすごくローカルな特徴を持っているので、その個性を活かしていけるような取り組みができるといいなと考えています。
あとは、認知度の向上に力を入れたいですね。全国展開している中でも地域によってはまだまだ知られていないところがあるので、特にご不要品を売りたいお客様への認知度を上げていきたいです。最近は若年層へのアピールも強化していて、店舗のイメージやカラーリングを変えて展開したりもしています。
―最近はインターネット上での中古品の売買サービスもありますが、実店舗ならではの強みは何ですか?
人と人とのコミュニケーションを通した買い取りをとても重視しています。アプリ上でも買い取りサービスをやっていますが、それは実店舗の補完的な位置づけであって、お客様に出品していただいた商品に対し店舗がコメントもつけながら査定します。ただ単に査定をするのではなく、コミュニケーションを通してお客様に納得して売っていただく。「この店舗、この店員さんがいるから売りたい」と思ってもらえるように、各店舗が特色を出しています。
コストに見合うなら他店舗で販売するというパターンもありますが、基本的には店舗ごとに完結させています。その地域で売ってくださるものはその地域でニーズがあったものでもあるので、リユースの場合でも同じ地域にニーズが多いという考え方です。
―スタートアップに提供できるアセットにはどんなものがありますか?
全国にある実店舗での実証実験にご協力できます。そこで弊社が考えつかないようなアイディアを試していただけるといいなと思います。代表の山本が開設したHARDOFF Startup Shibataもありますし、どんどんスタートアップの方と関わりたいと思っています。
https://www.hardoff.co.jp/startupshibata/
―遠藤さんが思い描く「新潟の未来」について教えてください。
この会社に入って初めて新潟を出て、10年くらい県外に転勤していました。外から見ると新潟の良いところも悪いところも見えたなと思います。せっかく良いところがいっぱいあるのにうまく発信できていないなと感じました。ある意味、全てがちょうど足りている感じというか。魅力はたくさんあると思うので、それがもっと伝わるような方法が考えられればいいなと思います。
―最後に、スタートアップへのメッセージをお願いします。
企業理念で共感し合えるところとご一緒したいです。最近はサステナビリティに取り組む企業さんがすごく増えたなという印象があり、もっとそういった企業が増えてくれたらいいですね。また、世界中に店舗があるので、その最新事例のキャッチアップができるような連携だといいなと思います。
【事務局からひとこと】
「もったいない」という価値観やリユース文化を世界にも広げていきたいと語る遠藤さん。大量生産・大量消費の社会の中で、まだ使えるものに改めて価値を見出して次の人へ繋げる「ハードオフコーポレーション」への様々な提案を募集しています。事業連携に興味のあるスタートアップはこちらまで!
2024年6月27日取材
取材・編集 井上佳純
撮影 星野静香